役員ご挨拶
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〈創業者メッセージ〉憲法記念日に想う~聞こえくる軍事大国への足音~
名誉会長・創業者 青木 清志

スウェーデンの国際平和研究所が公表した2016年度の世界全体の軍事費は、1兆6860億ドル(約184兆円)だった。2000年以降、増加傾向が強まり、高い水準で推移している。その内訳は米国6110億ドル、中国2150億ドルで、世界の軍事費の50%を占めているが、2017年度から全体の水準はますます高まっていくと思われる。なかでも日本は8位だが、2020年頃には5位以内を占めるのではないだろうか。2016年度に多くの安全保障関連法律を成立させており、米国政権の産軍複合体に組み込まれていく地政学的磁力を考えると、日本の軍事予算は変貌していく。

 

朝鮮半島の有事の可能性が現実味を帯びてくるに従い、日中韓の関係において米国を間に挟んだ安全保障上の基本的枠組みも変わる。しかしながら、北朝鮮と米国の間に本格的な戦争の勃発はないと考えるが、中国は北朝鮮を政治的、軍事的に支配下に置くだろうと思われる。今後も政治・外交・経済制裁の駆け引きが続き、数年が経過するなかで、米国は東アジアへの干渉から手を引き、東・南アジアを中国に委ねる選択をするのではないか。やがて、日本は専守防衛の軍事戦略から極東の軍事大国の道を歩みだすことになると、私は考える。

 

そもそも、ロシアを含むユーラシア大陸の極東に位置する国々は、第二次世界大戦後における平和条約すら締結しておらず、国境も未だ定まっていない。正式には戦争が終結していない状態である。
なぜ、70年を超す程の長い時間の停滞が続いていたのか。やるべき外交戦略の要が、ワシントンの意向に沿うことが絶対の条件にあり、常に為政者は苦渋の選択を為してきたことにある。
冷戦後、日米安全保障の役割が実質的に変貌したにも関わらず、日本は無作為にそれを延長したことで、その後の地政学的歴史を歪めてしまった。この時期に、日米安保条約の抜本的改革のページを新たにすべきであった。そして、アジア全域に向けた安全保障体制に目を注ぐ、多極への配慮に努力を傾けるべき歴史的機会を失った。
国の命運を、他国の「核の傘」に委ねて、国の主権が常に定まらない浮遊する状況から脱して、21世紀の国づくりへ勇躍すべきまたとない世紀の決断であったと思う。
真の自立体制への希求が、すべての国民の気持ちのなかにあったのは間違いない。そのことを、憲法記念日に改めて考えさせられた。

 

5月3日、憲法施行から70年が経過した憲法記念日に、安倍晋三首相は3年後に憲法改正をめざすとし、9条に自衛隊の合憲化を付加したいと述べた。私はそのことは正しく、必要な改正だと思う。
憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。ここに、9条の非武装平和主義があるが、前文にあるような状況は戦後70年来の歴史にはなかった。後段にある戦力の放棄と交戦権の否定は、いっさいの自衛権の放棄を意味する。憲法上は戦力をもたないので自衛のしようがない。
しかし、他国からの脅威に対して自衛権は主権国家の固有の権利であり、国を守ることは憲法の前提になる。よって、2020年をめざして9条に自衛隊の合憲化を付加することが可能になれば、初めて憲法違反が避けられることになり、意義深い。無条件の戦力の放棄ではなく、侵略戦争の否定にこそ、平和主義の真の精神がある。


平成29年6月21日 ハルナグループ名誉会長・創業者 青木清志

〈トップメッセージ〉次の20年に向けて新しい飲料をお客様とともに創り、新たな価値を創造していく

ハルナグループは1996年の創業から昨年で20年を迎えることができました。これもステークホルダー皆様からの多くのご支援があってのことと、改めて深く感謝申し上げる次第です。
経営理念である「顧客志向を経営の核として 顧客評価に値する品質とは何かを問い 顧客思考を超える製造とは何かを考え 顧客歓喜の果実を己の収穫とする」。私たちハルナグループは創業の精神・DNAを継承し、これからも人と技術と顧客志向を磨きつづけ、飲料を中心に新たな価値ある商品を創り、お客様、消費者、取引先、地域社会などステークホルダーの皆様から評価される企業グループを目指してまいります。

 

さて、2016年の飲料市場は、西日本を中心とした夏場における猛暑等の影響もあり、カテゴリーでは緑茶、ミネラルウォーターが牽引し国内飲料市場全体も伸長、販売数量は前年を上回る2%増となりました。このような状況下、当社におきまして16年度上半期は、前年度からの積極的な企画提案営業による新規共同開発商品の増加や主要顧客からの受注が堅調に推移し、自社工場はフル稼働ならびに全国提携工場への生産委託が増加する状況が続きました。
冬場に入り2L大型容器の茶系飲料などの販売に一時ブレーキがかかりましたが、500ml以下の小型ペットボトルの新規開発商品の受注や主力プライベートブランド商品の販売が好調に推移したことで、ハルナグループ全体の販売数量は過去最高の42,012千ケース、前期比107%と業界全体の伸長率を上回る結果となりました。
ハルナグループは2016年度を初年度として2018年度までの3ヵ年を新たな企業価値創造期として、飲料市場と顧客の変化に迅速に対応し、現在の顧客に新たな価値ある商品を提供するのみならず企画提案力・生産技術力・バリューネットワーク力のある飲料プロデュ―サーとしての価値創出を継続することで、これからも新たな市場・顧客を創造し独創性ある企業としてステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。

 

2016年度の取組み成果につき皆様にご報告いたします。
①グループマーケティング力の強化について
・2016年度月平均自社プラント受託商品数は305商品となり、前期比111%で過去最高の商品数となりました。商品数の増加は閑散期(下半期)の稼働率向上に繋がっております。

・お客様との共創による機能性商品や新ジャンル、健康志向などを意識した付加価値商品の開発に注力し採用された商品数は80商品と、前期の68商品を大きく上回ることができました。

 

②生産イノベーション(ローコスト・ハイクオリティ・ハイテクノロジー)の進化について
・自社6プラントの総生産数量は2,999万ケース、前期比104%と過去最高を更新しました。

・ハルナプロデュ―ス、タニガワプラントにて、国際的な食品安全システムであるFSSC22000を認証取得し、これでハルナプロデュ―ス全プラントでのFSSC22000の取得が実現しました。ハルナジョイパックにおいても認証手続きが最終の段階で、2017年度中には認証取得の見通しです。

・生産数量の増加や多品種小ロット化が進む中で、生産効率化の取り組みやエネルギーコストの低下の結果、前期比160百万円のエネルギーコストの削減ができました。

 

③グループバリューチェーンの強化
・自社プラントならびに全国提携工場からお客様の物流拠点への配送形態多様化や数量の増加に対応するため、より低コストで柔軟な運輸企業との協力関係を強化して物流全体のコストを引き下げることに成功し、ケースあたりの費用は前期の20.8円から今期19.8円とケース単価1円の削減ができました。

④海外飲料プロデュースの事業化
・グループ海外拠点であるタイ国にて、現地流通・小売企業向けにプライベートブランドの企画提案から商品開発を継続しております。しかし、販売活動において主要顧客の政策の変更により、商品化が実現できず計画を大きく下回っております。今後の戦略としては、マーケティング力と販売ネットワークの開拓を強化する必要性を認識しております。リサーチで分かってきたタイ人の潜在的ニーズである健康や機能性を付加した本物志向の商品をハルナオリジナルブランドとして自社商品を開発し、新たな営業戦略で市場と顧客の開拓を実行してまいります。これらを目的とし、現地の日系企業との太いパイプを持つコンサルティング会社(東洋ビジネス社)と新たにパートナーシップ契約を締結し、2017年4月に新合弁会社を設立しました。

 

⑤企業価値を創造する人財の育成
・ハルナグループは飲料事業を通して、社員一人ひとりが顧客と消費者が感動し満足する価値の創出をミッションとし、それを実現する人財の育成を最も重要な企業活動の一つと認識しております。そのために、比較的若い経営幹部が中堅・若手社員とのOJTによる育成により社員の能力を引き出し成果に繋げるエンパワーメントを目的とした目標管理・人事評価システムの改良改善に継続して取り組んでおります。

・開校12年目になるハルナビジネススクールにて、全社員を対象に社外・社内講師から幅広いテーマで勉強を重ね社員の学習意欲の向上や業務への改善取り組み、自己啓発などモチベーション向上に貢献しております。

・グループビジョンである持続的に利益を伴う成長を実現するため、社員の成果や貢献度に応じ給与や賞与の配分など人財投資を継続的に増やしていける経営に取り組んでまいります。

 

私たちハルナグループは顧客や従業員のロイヤルティ(信頼性・誠実性)を高め、企業の持続的発展の基礎となるCSR(企業の社会的責任)に加えて、ステークホルダー皆様とともに社会的課題の解決への一助や経済的価値の創出を目指していくCSV(共通価値の創造)が、これからの時代はさらに重要になると考えております。
これからも皆様と力を合わせ、グループの企業価値の向上に取り組んでまいります。どうぞご支援ご指導賜りますよう宜しくお願い申し上げます。



平成29年6月21日
ハルナビバレッジ株式会社 代表取締役社長 グループCEO 青木 麻生