次なる世代インタビュー 【第2回】(2013年秋収録)

ハルナグループ各社の未来を担う「次なる世代」を代表して、青木日出生、山崎敦也に営業・マーケティングをテーマに、三原修一、古市直也、坂上寿に製造・品質などをテーマに、インタビューを試みた。彼らは、どうハルナグループをけん引し、どうリーダーシップを発揮していくのか、その意気込みを代表・青木清志が聞き出す。




腹をくくるだけではいけない

青木清志代表(以下、青木清):
さて、今回は、営業やマーケティングに携わる2人に、話を聴きたいと思います。次期社長への指名を受けて、やる気になりましたか?
山崎敦也(以下、山崎):
正直に言いますと、初めは「えっ」という感じでした。しばらくして「やってやろう」と腹をくくりました。ただ、平成25年度は業績が良くないこともあり、「待てよ」と思う気持ちもあります。
青木清:
その気持ちの違いは何だろうか。
山崎:
自信喪失と「やってやろう!」が毎日変わります。今は、腹をくくる気持ちです。
青木清:
これまでマーケティングや販売、ものを売るという仕事でしたよね。
山崎:
はい、天職と思えるくらいです。
青木清:
「マーケティングを知らないと経営者になれない」というくらい、マーケティングはとても重要だと言われています。経営者になる上で、それが武器になると思いますか? それとも違う角度から考えますか?

山崎:
マーケティングに関して、私はシンプルに人をドキドキさせることを念頭に置いています。言葉にするのは難しいですが、一般的には、のし上がってきた経営者と営業出身の社長と、それぞれカラーがありますが、どちらもお客様が起点です。

青木清:
経営をするのには、腹をくくるくらいでは足りませんよ。そのために覚悟を持ち、いろいろな角度から自身を洗い流して、すべてを棚卸しし、よい部分を強化する。その気持ちがないといけません。その素質を最高のものに活かしていかなければいけないのです。
山崎:
確かに腹をくくるだけではダメです。覚悟はあります。

最終的には自分で決める!

青木清:
あなたは、経営者になろうと思ったことはありますか?
青木日出生(以下、青木日):
HARUNA(株)は2人でスタートしました。そのときは行く末もわからないまま、ただ一生懸命に働いていました。人づくりなど、0を1にする仕事を経験するうちに、少しずつ経営者になりたいという思いが芽生えてきました。
青木清:
あなたにとって何が強みで、何が足りないと考えますか?
青木日:
今まで代表の背中を見てきましたが、私に足りないのは経験と自信です。HARUNAの中では、新しいことをしてきましたが、そういった経験がまだ足りず、確たるものではありません。
須齋嵩(以下、須齋):
素晴らしい経営者は、その時々に何を考えるか、シミュレーションが大切です。青木日出生さんは、ずっと赤字だった会社を黒字にしましたよね。それは経営者の判断に、皆が一所懸命についてきたからです。経営者の判断がちょっとしたことだけど、重要です。
山崎:
私は青木麻生社長の右腕になりたくてやってきました。その代行のつもりです。
須齋:
今度は社長になるのです。今も代行のように思っていますか?
山崎:
社長はそう思っているかはわかりませんが、私は今も右腕と思っています。
青木日:
私は意思決定の判断をするには経験も少なく、優先順位も明確になっていません。
青木清:
そんな気にすることありませんよ。時間が経てばできるし、誰でもはじめからはできない。
山崎:
青木代表は、判断に迷ったことはありますか?
青木清:
私はないね(笑)。何もないといえば嘘になるが、直感を働かせる。相談するときはあるが、結局は自分で決めている。また、考えを持たないで相談はしない。
青木日:
スピードが重要ですよね。
青木清:
間違えても気にしなくていい。そのくらいの気持ちだよ。
中澤幹彦(以下、中澤):
何に対しても、しないよりは何かをして失敗したほうがいいですよ。
須齋:
青木代表は演劇的経営と言われますが、シナリオを持ってやればいいですよ。お二人も自身でシナリオをつくることです。
中澤:
トップとしてあるべき姿、それをイメージしたことはありますか?
山崎:
今までは、与えられたミッションに従いクリアしてきました。しかし、これからはミッションを自分自身で作る感覚です。
中澤:
社長は24時間365日、仕事のことを考えていると言いますが、本当です。あなたが東京にいる間に高崎で起きたこと、それがあなたの知らないことでも、あなたの責任になる。重いですよ。今まで事故等の責任は誰が取ってきたのかを調べてみたら、一番多いのが青木代表、次に私でした。青木代表が東京にいても、高崎の工場で何かあれば、たとえ現場の一担当がやったことでも責任を取らなくてはいけないのです。漠然としてではなく、明確なビジョンを持ち、部下に責任を持つ。全責任を持つというのが経営者の役目です。そのくらいでないと誰もついてきません。 日出夫常務、あなたは今まで、海外事業を引っ張ってきたのですよ。エネルギーが必要なことをしてきたのです。だから、胸を張り自信を持つことです。努力して花を咲かせてきたのですから。これからは自分が社員に光を放つような人にならなくては。明確なビジョンを持ち、海外事業の全責任を持つくらいの気持ちが大事です。

飲料市場の未来は?

青木清:
山崎さん、国内の飲料市場は今、4兆円まで下がっているが、10年後、市場規模はどれだけ下がると思います? 市場規模が1兆円下がると、今の生産工場はどうなるか想定していますか。
山崎:
まず力のある工場だけが残ると思います。
青木清:
要は成り立たなくなるということ? そこでどうしたい?
山崎:
まず力のある工場だけが残ると思います。
青木清:
要は成り立たなくなるということ? そこでどうしたい?
山崎:
もちろん勝ち残りたい。数量や売上だけでなく、この業界にはハルナグループが必要だよね、と言われる会社でいたいです。
青木清:
横の連携かい? もしくは一体化を図りたい?
山崎:
そうですね。互いの思いが一緒であれば。
青木清:
PBをどうしたいですか? このままの姿を変えずに、10年間存続すると思いますか?
山崎:
無理でしょうね。NB化というか、その企業のオリジナリティがもっとないと生き残れないと思います。
青木清:
飲料は多様化していくと思いますか? 商品企画の中に組み込まれていき、セールスの拡大よりも自身たちのブランドを広げ、認知を高めるための存在になっていくと思いますか?
山崎:
それが企業のイメージになり、広告のオプションになるのかもしれません。
青木清:
その時代になったとき、あなたはどう戦略する?
山崎:
商品企画はもちろん、しっかりと良いものを作り届ける。それには、ハルナグループは必要だ、と思わせることが重要です。
青木清:
海外市場に向かうとき、マーケティングでは、HARUNAというブランドを商品化し、ブランドイメージを出す。それは競合他社と同じやり方ですね。一方、プロデュースというのは、投資などしないで、その地域で最高の商品を提供し、いわば「プランニング・バイ・ハルナ」とすることです。
青木日:
PBを海外へ出すためには、まずは日本で成功させないと。そして体力をつけて、ボリュームがあれば、M&Aをして工場を造る。メーカー機能は相当お金がかかりますから。まず日本でやってからです。

価格ではない、特徴ある商品づくりを

青木清:
10年後のアジアは、どんな市場になっているかな。
青木日:
成長の度合いは違いますが、香港、シンガポール、インドネシア等は小売りがどんどん構築してきていて、いずれPBの波が来るでしょう。今、タイに波が来ている。これからいろいろなチャンスが訪れるので、タイを拠点に活動します。
青木清:
製造業は雇用が1500~1600万人いた時代があります。ところが、今は半分の800万人になった。この変わり方で10年後は増えていると思いますか?
山崎:
緩やかなカーブで減ると思います。
青木清:
エネルギーも実態が変わり、効率を高めて生産をできる現場が大切だから、この7、800万人で止まるのではないかと思われる。生産コストが上がらない政策を作れば、状況は変わるだろう。あとはサービス業の雇用人材は多くないので、サービス業の色を強くした分野で雇用が出てくれば増えてくると思う。 もうひとつ期待できるのは、重工業。技術の蓄積があるから、中国や韓国は追い付いてこられない。造船は韓国でできないものを日本でやっているし、製造は見直される時期に入るかと思う。また、団塊の世代が外へ行かないで、現場で活躍できてくるのではないか、日の当たる道が現れると思います。
青木日:
ただ欧米ではブランドが強いので。
青木清:
中間資材は輸出されているんだよ、それをつくるのが日本だ。
青木日:
低価格品でどう作ることができるのか。それが鍵だと思います。
青木清:
「マイスムージー」は付加価値があり、高くても売れるのではないかな。需要があるでしょ。
青木日:
しかし、日本では作れないのですよ。
青木清:
素材だよ。値段ではなくて、特徴をもって、これだ! というものをつくること。
須齋:
BtoBばかりを意識をしているのではなく、HARUNAブランドをつくらないといけません。
青木清:
ポイントは高齢化社会、生活習慣病。また、鮮度を保つ条件をどう満たすかです。

青木日:
以前から考えているのですが、日本にない製造ラインに投資をして、ペットボトルで作りたい。ニーズはあります。ただ、自社投資では何億円もしてしまうのです。

青木清:
顧客とのつながりでできているので、問題を受けたときに選択肢と能力が必要とされます。 これからは義務として、1週間に1冊を読んでください。大変だとは思いますが、それを実にしていくことで、その成果として楽しいものが創出してくるのです。読むということは知らない世界を知り、いろいろな人がいて、こんな考え方があるのかと学べます。最後は自身の判断力に反映されてくるのです。経営者は判断力が必要です。判断力を培うのは容易ではありません。人に教わることもできるかもしれないが、自分はこれだという判断が重要なのです。歯を食いしばりとにかく18ヶ月です。 また、メモにしておくことも大事ですよ。自分がどう感じたか、自身のメモにして、自分の歴史をつくります。何を読んだか記録をとっておいてください。 私も各人がどのような本を選んだかで、皆さんがどう歩もうとするのかがわかります。それを踏まえ、本を推薦もしましょう。この18ヶ月は基礎、そして、2015年1月に判断します。またそこから、次のステップに入り、違う勉強になります。